ETFと投資信託(非上場)の違いを、仕組み・コスト・分配金・新NISAでの扱いという4つの軸で比較。初心者がどちらから始めると管理が楽か、判断軸をわかりやすく解説します。
・本記事はETF・投資信託の仕組みを学ぶための教育コンテンツであり、投資助言・特定銘柄や特定商品の推奨ではありません。
・投資には元本割れのリスクがあります。
・信託報酬・取扱本数・NISA制度の内容は変動します。本記事は2026年7月時点の情報を基にしています。
・実際の投資判断はご自身の責任で、最新の目論見書・制度情報をご確認のうえ行ってください。
こんにちは、運営者のハルです。
「ETFと投資信託、結局どっちを買えばいいの?」「新NISAではどっちが有利なの?」——この記事はその疑問に答えるためのものです。なお、本記事の「投資信託」は証券取引所に上場していない一般的な投資信託(非上場の公募投信)を指します。米国の「ミューチュアルファンド」に相当しますが、日本では「投資信託」と呼ぶのが一般的なので、その呼び方で整理します。
結論から言うと、ETFと投資信託の違いは「上場しているかどうか」を起点に、売買の仕方・コストの構造・分配金の扱い・新NISAでの使いやすさが枝分かれしていく、という関係にあります。どちらが優れているという話ではなく、自分の投資スタイルに合わせて選ぶための判断軸を持つことが大切です。
ETFと投資信託、そもそも何が違うのか
両方とも「複数の株式や債券をまとめて保有し、値動きを分散させる」という基本の仕組みは共通しています。違いが生まれるのは、その入れ物が「証券取引所に上場しているかどうか」という一点です。
ETF(上場投資信託)とは
ETFは、株式や債券などの資産をまとめたファンドでありながら、証券取引所に上場し、個別株と同じように取引時間中はリアルタイムの価格で売買できる商品です。多くは日経平均株価やS&P500といった特定の指数への連動を目指すパッシブ運用が中心で、信託報酬(保有中にかかるコスト)は比較的低めに設定されている傾向があります。
投資信託(非上場ファンド)とは
一方の投資信託は、証券取引所には上場せず、1日1回算出される「基準価額」で売買される商品です。注文を出すタイミングが日中のどこであっても、約定する価格は当日または翌営業日の基準価額に一本化されます。指数連動のインデックス型もあれば、運用会社が銘柄を選んで指数超えを目指すアクティブ型もあり、後者は信託報酬が相対的に高くなる傾向があります。
ETFと投資信託 比較表
| 比較軸 | ETF(上場投資信託) | 投資信託(非上場) |
|---|---|---|
| 取引の仕組み | 証券取引所に上場。取引時間中はリアルタイムの価格で売買 | 非上場。1日1回算出される基準価額で売買 |
| 信託報酬の傾向 | 相対的に低い傾向(販売会社向け報酬を含まない設計が多い) | ETFよりやや高め。アクティブ型はさらに高くなりやすい |
| 売買時のコスト | 証券会社の売買手数料に加え、買値と売値の差(スプレッド)が発生 | ノーロード(購入手数料無料)の商品が主流。スプレッドは発生しない |
| 積立設定 | 証券会社によっては1株(口)単位の買付が必要で、自動積立に対応していない場合がある | 100円単位・毎月自動積立に対応している証券会社が多く、設定の手間が少ない |
| 分配金の再投資 | 分配金は原則現金で支払われ、再投資する場合は自分で買い直す手間がかかる | 分配金を出さず自動的に運用に組み入れる「再投資型」を選べる商品が多い |
| 新NISAでの主な扱い | 成長投資枠が中心。つみたて投資枠の対象は一部の銘柄に限られる | つみたて投資枠の対象商品の大半を占める |
コストを詳しく比較する——信託報酬・売買手数料・スプレッド
ETFと投資信託のコストは、大きく3種類に分けて考えると整理しやすくなります。
- 信託報酬:保有中ずっとかかり続けるコストです。同じ指数連動なら、ETFの方が低めの傾向がありますが、近年は投資信託側も低コスト商品を増やしており差が縮まっている銘柄もあります。個別の商品ごとに目論見書で確認しましょう。
- 売買手数料:ETFは株式と同様に証券会社所定の売買手数料がかかる場合があります(ネット証券では無料化が進んでいます)。投資信託は購入時手数料が無料の「ノーロード」商品が主流で、積立前提なら手数料面はシンプルです。
- スプレッド:ETFは取引所でリアルタイム売買される性質上、買値と売値の差である「スプレッド」が実質的なコストとして発生します。出来高が少ない銘柄ほど開きやすく、見えにくいコストになりがちです。投資信託は基準価額で一律約定するため、この種のコストは発生しません。
信託報酬が低いからETFの方が必ず得、というわけではなく、売買頻度やスプレッドまで含めたトータルコストで比較する視点が欠かせません。
信託報酬の差は積立20年でいくらになる?——実額で試算
「ETFの方が信託報酬が低い傾向」と言われても、その差が実際にいくらになるのかが分からないと、判断の材料になりません。まず物差しとして、金融庁が2026年10月15日時点で公表しているデータを見ます。つみたて投資枠の対象になっている「指定インデックス投資信託」の信託報酬は、投資先を国内とするもので平均0.27%、内外・海外とするもので平均0.33%です(法令上の上限はそれぞれ0.5%・0.75%)。出典:金融庁 つみたて投資枠対象商品。
この水準を踏まえて、信託報酬の差が積立の最終額にどれくらい響くかを試算します。条件は次のとおりです。
- 毎月3万円を月初に20年間積み立てる(元本は合計720万円)
- 信託報酬を引く前の運用成績を年率5%と仮定(差を比べるための置き方であり、将来の成績を示すものではありません)
- 信託報酬の分だけ年率が下がるものとして簡易計算(税金・売買コストは含めません)
| 信託報酬(年率) | 20年後の評価額(概算) | 0.05%の場合との差 |
|---|---|---|
| 0.05% | 約1,216万円 | — |
| 0.10% | 約1,209万円 | 約7万円少ない |
| 0.20% | 約1,196万円 | 約20万円少ない |
| 0.33%(上記の内外・海外型の平均) | 約1,179万円 | 約37万円少ない |
読み方のポイントは2つです。1つめは、信託報酬の差が0.05ポイントなら20年で約7万円、0.1ポイントなら約13万円(0.10%と0.20%の比較)と、差そのものは小さく見えても、毎年かかり続けるため時間とともに積み上がる点です。2つめは、ETFと投資信託を比べるときも「ETFは低い傾向」という一般論で決めず、同じ指数に連動する個別の商品どうしで信託報酬を並べて比べる必要がある点です。近年は低コストの投資信託も増えており、ETFとの差が0.0Xポイント程度にとどまる組み合わせも珍しくありません。
ETFには、信託報酬とは別に買い付けのたびにかかるコスト(売買手数料やスプレッド)があります。試算のため、1回の買い付けで金額の0.1%分のコストがかかると仮定すると、毎月3万円の買い付けで1回あたり30円、240回(20年)の合計は約7,200円です。コストが0.5%なら1回あたり150円で、合計は約3.6万円になります。信託報酬の差と比べると小さい額ですが、証券会社の手数料体系やETFの出来高によって変わるため、実際の条件で確かめておきたい部分です。なお、投資信託の運用報告書にある「総経費率」には、信託報酬のほか監査費用や売買委託手数料なども含まれるため、実質的なコストを知りたいときの確認先になります。
分配金の扱いの違い
長期の資産形成で地味に効いてくるのが、分配金の扱い方です。投資信託には、分配金として現金で支払う「分配型」と、分配金を出さず自動でファンド内に再投資する「再投資型(無分配型)」があります。複利効果を重視するなら、後者を選べば自分で買い直す手間なく資産を積み上げられます。
一方、ETFは仕組み上、分配金を原則として現金で受け取る形が基本です。再投資したい場合は、受け取った現金で自分自身が買い増しの注文を出す必要があります。少額の分配金がこまめに入る商品ほど再投資の手間が積み重なる点は、管理のしやすさという観点でETFのやや不利な部分です。
新NISAでの扱いの違い
2024年から始まった新NISA制度は、「つみたて投資枠」(年間120万円)と「成長投資枠」(年間240万円)の2つの枠を併用でき、合計で年間360万円、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円が上限)という設計になっています。制度全体の使い方は新NISA完全ガイド2026|年360万円・累計1,800万円の使い方を初心者向けに解説で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト)。
ここで押さえておきたいのが、ETFと投資信託でこの2つの枠との相性が異なる点です。つみたて投資枠の対象商品は長期・積立・分散に適した一定の基準を満たすものに限定されており、金融庁の届出一覧では投資信託が大半を占め、ETFはごく一部の銘柄しか採用されていません(出典:金融庁 つみたて投資枠対象商品一覧)。「毎月自動でコツコツ積み立てたい」なら、実務上はほぼ投資信託が受け皿になります。
一方、成長投資枠では上場株式や幅広いETF・投資信託を購入できるため、個別の指数や業種に狙いを定めてETFを組み入れたいなら、こちらの枠が主戦場になります。「つみたて投資枠=投資信託で自動積立」「成長投資枠=ETFも選択肢に入れて自分で判断」というのが、制度上の役割分担のイメージです。
なお、老後資金づくりでは「iDeCo」という別制度も選択肢に入ります。新NISAとの使い分けはiDeCo完全ガイド2026|新NISAとの違いと使い分け、始め方ロードマップを初心者向けに解説で解説していますので、あわせて参考にしてください。
初心者はどちらから始めると管理が楽か
どちらを選ぶべきかは投資助言にあたるため断定はできませんが、「管理のしやすさ」という軸で考えると、判断材料になる特徴の違いがあります。
- 毎月決まった金額を自動で積み立てたい:投資信託は100円単位の自動積立に対応する証券会社が多く、一度設定すれば売買タイミングを考える必要がない点で負担が少なくなります。
- 分配金を自分で判断して再投資する手間をかけたくない:分配金を出さない「再投資型」の投資信託を選べば、複利運用の管理が自動化しやすくなります。
- 特定の指数や業種を狙い、取引価格を自分の目で見て売買したい:ETFはリアルタイムで値段を確認しながら売買できますが、その分「いつ買うか」を自分で考える負担も増えます。
運用スタイルにおいて何を優先するかで運用対象を選ぶ、という考え方については、パッシブ運用とアクティブ運用の違いを整理したインデックスファンド vs アクティブファンド: 投資初心者から上級者まで知っておくべき選び方もあわせて参考にしてください。ETFにも投資信託にも、指数に連動するインデックス型と、運用会社が銘柄を選ぶアクティブ型の両方が存在します。
実際に口座を開設する際には、証券会社によって取扱商品数や自動積立の設定方法、手数料体系が異なります。ネット証券口座 おすすめ比較ガイド【2026年最新】|手数料・サービス・選び方の全体像で比較したうえで、ご自身の使い方に合った証券会社を選ぶことをおすすめします。
「自動積立のしやすさ」が実質的な分かれ目——ETFでも積立はできるのか
初心者にとって、ETFと投資信託の差が最も大きく現れるのは、コストよりも「積立の手間」です。結論から言うと、ETFでも自動積立ができる場合はありますが、どの証券会社でも同じ条件でできるわけではありません。違いを4つに分けて整理します。
- 最低投資額:投資信託はネット証券で100円から設定できる商品が多い一方、ETFは銘柄ごとに売買単位が決まっています。日本取引所グループの説明では、たとえば価格が1,000円で売買単位が10口なら、最低売買価格は1,000円×10口=1万円です(出典:日本取引所グループ ETFの売買制度)。
- 買い付けの指定方法:投資信託は「毎月3万円」と金額で指定できますが、ETFは口数(株数)で買うのが基本です。金額で割り切れず、端数の余りが出ることがあります。
- 自動積立の仕組み:ETFの積立は、証券会社が提供する「株式累積投資(るいとう)」などで可能とされています。大和アセットマネジメントは「ETFの積立投資は一部の証券会社の一部の銘柄にて可能」と説明しています(出典:大和アセットマネジメント ETFの積立)。また、国内株式の積立サービスを持つ証券会社もあり、2024年9月時点で、ある大手ネット証券は対象にETFやREITを含め、金額指定は1,000円以上としていました(出典:楽天証券 2024年9月24日付プレスリリース)。提供の有無・最低金額・対象銘柄・対象口座は証券会社ごとに異なり、変更もあるため、口座を開く前に最新の条件を確認してください。
- つみたて投資枠との相性:金融庁の2026年10月15日時点の集計では、つみたて投資枠の対象は375本で、そのうちETFは11本(国内5本・海外6本)、残りの364本は公募投資信託です。ETFは全体の3%ほどにとどまり、つみたて投資枠で選べるETFは限られています(出典:金融庁 つみたて投資枠対象商品)。
| 積立のしやすさ | 投資信託 | ETF |
|---|---|---|
| 買い付けの指定 | 金額指定(100円〜が多い) | 口数指定が基本。最低額は「価格×売買単位」 |
| 自動積立 | 多くの証券会社が標準で対応 | 株式累積投資や国内株式の積立サービスなど一部で可能。条件は証券会社次第 |
| つみたて投資枠の対象本数 | 375本中364本 | 375本中11本(2026年10月15日時点) |
| 分配金の再投資 | 再投資型なら自動 | 現金受け取りが基本。買い増しは自分で注文 |
この表から言えるのは、「毎月の入金、買い付け、分配金の再投資までを手を入れずに回したい」という使い方は、投資信託の設計に合っているということです。一方、価格を見ながら口数で買い、指値注文も使いたいという使い方であれば、ETFの仕組みが合います。どちらが正解という話ではなく、自分がどこまで手間をかけられるかで選ぶ軸が変わります。判断に迷うときは、先に「自動積立にしたいか」を決めておくと、残りの比較(コスト・枠)が整理しやすくなります。
分散投資の3つの軸から見る使い方
ETFと投資信託に共通する強みは「1つの商品で分散投資が完結する」点です。分散投資には、主に3つの軸があります。
- 銘柄の分散:1社ではなく数十〜数千社に分けることで、個別企業の値下がりリスクを抑える
- 地域の分散:日本だけでなく米国・全世界など複数の国・地域に分けることで、特定国の経済リスクを抑える
- 時間の分散:一括で買うのではなく毎月一定額を積み立てることで、購入タイミングの偏りを平準化する
ETF・投資信託は「銘柄の分散」と「地域の分散」を1本で実現できる商品が多く、そこに積立投資による「時間の分散」を組み合わせるのが、初心者にとって再現性の高い分散投資の実践方法とされています。どちらを選ぶ場合でも、まずこの3つの軸を意識しておくと、比較表で見た違いの意味が理解しやすくなります。
よくある質問
Q1. ETFと投資信託、コストが安いのは結局どちらですか?
同じ指数に連動する商品同士なら、一般にETFの信託報酬がやや低い傾向にありますが、近年は低コストな投資信託も増え、差が小さい銘柄もあります。売買手数料やスプレッドまで含めたトータルコストは商品ごとに異なるため、個別に確認が必要です。
Q2. 新NISAのつみたて投資枠でETFを買うことはできますか?
制度上は一部のETF銘柄が対象になっていますが本数はごくわずかで、大半は投資信託が占めています。つみたて投資枠で自動積立をしたい場合、実務上は投資信託が選択肢の中心になります。対象商品は金融庁の公表一覧で随時更新されるため、最新情報を確認してください。
Q3. 分配金を再投資したくない場合は、ETFと投資信託のどちらが向いていますか?
分配金を出さず自動で再投資してほしいなら、再投資型(無分配型)の投資信託が仕組み上マッチします。ETFは分配金が現金で支払われるのが基本のため、再投資したい場合は自分で買い増しの注文を出す手間がかかります。
Q4. 投資初心者は、まずETFと投資信託のどちらから始めるべきですか?
どちらが正解ということはなく、投資助言にもあたるため断定はできませんが、「手間をかけたくない」なら投資信託、「取引価格を見ながら自分で売買したい」ならETF、という管理スタイルの違いを軸に考えると選びやすくなります。まずはつみたて投資枠で投資信託の自動積立から始め、慣れてきたら成長投資枠でETFを検討する進め方も一つの考え方です。
Q5. ETFでも自動積立はできますか?
できる場合があります。証券会社が提供する「株式累積投資(るいとう)」や国内株式の積立サービスの対象にETFが含まれていれば、毎月一定額の自動買い付けが可能です。ただし、対象銘柄・最低金額・対象口座は証券会社ごとに異なり、新NISAのつみたて投資枠で選べるETFは2026年10月15日時点で11本(対象375本中)にとどまります。口座を開く前に各社の最新条件を確認してください。
Q6. ETFと投資信託の信託報酬の差は、長期でどれくらいの金額になりますか?
本記事の簡易試算(毎月3万円を20年積立、運用前の年率5%と仮定)では、信託報酬が年0.05%の場合と0.20%の場合で、20年後の評価額に約20万円の差が出ます。差は信託報酬の幅に比例して広がるため、同じ指数に連動する個別商品どうしで確認することが大切です。この試算は将来の成績を示すものではありません。
まとめ
ETFと投資信託は、どちらも複数の資産に分散投資できる点は共通していますが、「上場しているかどうか」を起点に、売買の仕組み・コスト構造・分配金の扱い・新NISAでの使いやすさが枝分かれします。ETFはリアルタイムで売買でき信託報酬が低めの傾向がある一方、分配金の再投資は自分で行う必要があります。投資信託は自動積立や分配金の自動再投資といった「手間をかけない運用」に強みがあります。
どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、運用にどれだけ手間をかけたいか、どの制度の枠を使いたいかで向き不向きが変わります。まずはつみたて投資枠で投資信託の自動積立を試し、慣れてきたら成長投資枠でETFも組み合わせてみる、という進め方から検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
ハル|証券外務員二種(日本証券業協会)保有
金融リテラシー教育サイト finance-plan-study.com 運営者(2022年〜)。FX自動売買を自己資金で実運用しながら、NISA・iDeCo・保険など生活者の金融判断に使える知識を、一次情報(金融庁・国税庁等)に基づいて発信しています。



