源泉徴収票は12月〜1月の給料と一緒に配られる小さな紙ですが、4つの欄を見るだけで税金を「払いすぎていないか」がわかります。大学生バイト向けに、令和8年分の様式で見方と確定申告での還付の流れを国税庁の一次情報にもとづき解説します。
・本記事は源泉徴収票の見方と確定申告の基礎を学ぶための教育コンテンツであり、個別の税務相談ではありません。
・様式・金額は2026年9月時点の公開情報(国税庁)に基づきます。様式や基準額は年分により変更されるため、必ず最新情報でご確認ください。
・還付の要否・金額は個々の状況によって異なり、「必ず還付される」ことを保証するものではありません。
・実際の記入・提出・申告は、税務署または税理士等の専門家にご相談のうえ行ってください。
結論:源泉徴収票は「4つの欄」を見れば払いすぎがわかる
12月から1月にかけてバイト先から渡される「給与所得の源泉徴収票」。多くの学生はよく見ずに引き出しにしまってしまいますが、この1枚に「今年いくら稼いだか」「いくら税金を払ったか」「払いすぎていないか」がすべて書かれています。特に注目すべきは支払金額・給与所得控除後の金額・所得控除の額の合計額・源泉徴収税額の4つの欄です。この4欄の意味と、天引きされた税金が戻ってくる条件を国税庁の一次情報にもとづいて解説します。
源泉徴収票とは?いつ、どうやってもらえる
源泉徴収票とは、1年間(または退職までの期間)にその会社から支払われた給与の総額と、天引きされた所得税額を証明する書類です。正式名称は「給与所得の源泉徴収票」で、会社には交付義務があります。
発行時期——年末調整後の12月〜1月、退職時は退職後1か月以内
国税庁の案内では、交付期限は「中途退職の場合は退職後1か月以内」「それ以外(年末まで在籍し年末調整を受けた人)は翌年1月31日まで」とされています(国税庁「給与所得の源泉徴収票(同合計表)」)。根拠は所得税法226条(給与は1項、退職手当は2項)。年末まで在籍している人は、年末調整後の12月または1月の給料明細と一緒に渡されるのが一般的です。
もらえない・なくした場合の対処法
交付期限を過ぎても渡されない場合は、まずバイト先の給与担当に請求してください。それでも発行されない場合は、納税地を所轄する税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます(同上)。給与明細の写しなどを添えて提出すると、税務署から会社へ交付を促す行政指導が行われる仕組みです。なくした場合も、まずはバイト先(または退職した勤務先)へ再発行を依頼するのが基本です。
源泉徴収票の4つの重要欄の見方
令和8年分の様式では、中央の数字が並ぶ欄に主に4つの重要な項目があります。それぞれの意味を国税庁の手引にもとづいて整理します。
| 欄名 | 意味 | 大学生バイトが見るポイント |
|---|---|---|
| 支払金額 | その年に支払が確定した給与・賞与の総額(額面年収) | 「年収の壁」を判定する基準になる数字。ここがいくらかで税金・扶養の扱いが変わる |
| 給与所得控除後の金額(調整控除後) | 支払金額から給与所得控除(概算経費)を差し引いた「所得」の額。所得金額調整控除がある場合はさらに控除後の額 | 年末調整をしていない人(年の途中で退職した人など)の源泉徴収票にはこの欄が記載されない点に注意 |
| 所得控除の額の合計額 | 社会保険料控除・基礎控除・勤労学生控除など、各種所得控除の合計額 | アルバイトの学生が使う「勤労学生控除」を正しく適用できているかはここで確認できる |
| 源泉徴収税額 | 年間に天引きされた所得税+復興特別所得税の合計額(年末調整済みなら精算後の最終税額) | ここに金額の記載があるのに支払金額(年収)が非課税ライン以下なら、払いすぎのサインになる |
出典: 国税庁「源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(支払金額・給与所得控除後の金額・所得控除の額・源泉徴収税額)
源泉徴収税額があるのに年収160万円以下——それは「払いすぎ」のサイン
令和7年度税制改正で、給与収入のみなら160万円まで所得税ゼロに
令和7年度税制改正により、基礎控除95万円+給与所得控除の最低保障額65万円=年収160万円までは所得税がかからない仕組みになりました(国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」)。以前の「103万円の壁」から引き上げられている点に注意してください。詳しい仕組みは大学生の税金と年収の壁 完全ガイド2026でも解説しています。この160万円というラインは支払金額(年収)の欄と照らし合わせて確認します。
天引きされた分は確定申告(還付申告)で取り戻せる
毎月の給料からの天引きは「1か月あたりの給与額」を基準に自動計算されるため、シフトを増やした月があると天引きが発生します。一方で年間の支払金額が160万円以下であれば、その年の所得税は本来ゼロです。つまり源泉徴収税額の欄に金額が入っているのに支払金額が160万円以下なら、天引き分は本来納める必要のなかったお金であり、確定申告(還付申告)をすれば返ってくる可能性が高いということになります。還付申告は国税庁の確定申告書等作成コーナー(国税庁 確定申告の手引き、タックスアンサーNo.2030参照)から作成・提出でき、対象年の翌年以降5年間提出が可能です。バイト先で年末調整を受けていれば会社側で精算されるケースが多いですが、掛け持ちや年の途中退職など年末調整の対象外のケースでは、自分で確定申告をしない限り天引き分は戻ってきません。
掛け持ち・年の途中退職のケース
掛け持ちバイトの源泉徴収票
2か所以上でアルバイトをしている場合、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出できるのは1社(主たる給与・甲欄)だけです。もう1社以上(従たる給与・乙欄)は実際の所得より高めの税率で天引きされ、原則として年末調整の対象になりません(国税庁タックスアンサーNo.2520)。それぞれの勤務先から源泉徴収票を受け取り、2枚分の所得を合算して確定申告をすれば、乙欄で天引きされすぎた分の精算・還付を受けられます。従たる給与の年間収入が20万円超なら申告義務があり、20万円以下でも還付のための申告は可能です。
年の途中で辞めた場合
年の途中で退職し再就職しなかった場合、多くは年末調整を受けられないまま源泉徴収票が発行されます。この場合「給与所得控除後の金額」欄は記載されず、天引きされた所得税が精算されないままのケースがほとんどです。国税庁も「納め過ぎとなっている所得税は、中途退職した年の翌年になってから確定申告をすれば還付を受けられる」としており、この申告は退職した年の翌年以降5年以内であれば行えます(国税庁タックスアンサーNo.1910)。年末調整の全体像は大学生バイトの年末調整 完全ガイドもあわせてご覧ください。
源泉徴収票を捨ててはいけない理由
源泉徴収票は「見て終わり」の書類ではありません。以下の場面で提出や提示を求められることがあるため、少なくとも数年分は保管しておくことをおすすめします。
- 確定申告・還付申告のとき——所得や天引き済み税額を証明する基礎資料になります(国税庁の確定申告手続きで利用)。
- 奨学金の申請・継続手続きのとき——収入状況の確認資料として求められることがあります(各奨学金団体の運用によります)。
- 賃貸物件の入居審査のとき——収入証明の代わりとして提示を求められる場合があります(不動産会社・保証会社の運用によります)。
確定申告での利用は国税庁の一次情報で確認できますが、奨学金・賃貸審査での利用は各機関側の運用によるため、必要書類は提出先に確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 源泉徴収票をもらったら、まずどこを見ればいいですか?
「支払金額」で年間の総収入を確認し、次に「源泉徴収税額」を見てください。支払金額が160万円以下なのに源泉徴収税額に金額があれば、確定申告で戻ってくる可能性があります。
Q2. 「給与所得控除後の金額」の欄が空欄なのはなぜですか?
この欄は年末調整をした人にのみ記載されます。年の途中で退職し、その年に年末調整を受けていない場合は空欄になりますが、記載ミスではなく正しい様式の仕様です。
Q3. 源泉徴収票をなくしてしまいました。再発行できますか?
再発行は可能です。まずは発行元のバイト先(退職済みの場合は元の勤務先)の給与担当に依頼してください。応じてもらえない場合は、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する方法があります。
Q4. 確定申告(還付申告)はいつまでにすればいいですか?
通常の確定申告期間(原則2月16日〜3月15日)とは別に、還付申告は対象年の翌年1月1日から5年間提出できます。「去年の分をやり忘れていた」場合でも申告できる可能性があります。
まとめ
- 源泉徴収票は12月〜1月(在職中)または退職後1か月以内(中途退職)に交付。もらえない場合はまず勤務先へ請求、それでも無理なら税務署へ「不交付の届出書」
- 重要な4欄は「支払金額」「給与所得控除後の金額(調整控除後)」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」
- 2025年度税制改正で、給与収入のみなら年収160万円まで所得税はゼロ。それなのに源泉徴収税額に金額があれば払いすぎのサイン
- 払いすぎた分は確定申告(還付申告)をしないと戻ってこない。期限は翌年以降5年間
- 掛け持ちバイトや年の途中退職は年末調整の対象から外れやすく、確定申告が必要になるケースが多い
- 源泉徴収票は確定申告・奨学金申請・賃貸審査などで必要になるため捨てずに保管する
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免責
- 本記事は2026年9月時点の公的情報(国税庁)をもとに作成した教育コンテンツです。源泉徴収票の様式・基準額は年分により変更されるため、必ず国税庁・勤務先の最新情報でご確認ください。
- 本記事は税務相談ではありません。個別の控除の可否・還付額・確定申告の要否の判断は、税務署または税理士等の専門家にご確認ください。
- 「必ず還付される」ことを保証するものではありません。還付の有無・金額は個々の状況によって異なります。
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この記事を書いた人
ハル|証券外務員二種(日本証券業協会)保有
金融リテラシー教育サイト finance-plan-study.com 運営者(2022年〜)。FX自動売買を自己資金で実運用しながら、NISA・iDeCo・保険など生活者の金融判断に使える知識を、一次情報(金融庁・国税庁等)に基づいて発信しています。



