初任給の手取りの計算方法 2026年版

初任給の手取りはいくら?計算方法と1年目の変化【2026年版】

初任給の額面から引かれるのは健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税の4項目。住民税は1年目はかからず、2年目の6月から新たに天引きが始まります。令和8年度の保険料率・源泉徴収の基準額をもとに、1年目と2年目で手取りがどう変わるかを月別タイムラインで整理します。

【この記事について】
・本記事は初任給から手取りが決まる仕組みを学ぶための教育コンテンツであり、個別の税務・社会保険相談ではありません。
・給与明細の見方の基礎はバイトの給与明細の見方【大学生向け】で解説している内容と共通する部分がありますが、本記事は正社員として就職した初任給を前提に整理しています。
・保険料率・税額基準は2026年9月時点(令和8年度)の公開情報(協会けんぽ・日本年金機構・厚生労働省・国税庁)に基づきます。制度は年によって変更されるため、必ず最新情報でご確認ください。
・実際の控除額は勤務先の給与規定・保険者(協会けんぽ以外の健康保険組合等)・扶養状況によって異なり、本記事のモデルケースはあくまで目安です。
・具体的な金額は、勤務先の給与担当・年金事務所・税務署等にご確認ください。

「初任給、思ったより少なかった……」——4月に働き始めて最初の給与明細を見たとき、多くの新社会人が抱く感想です。額面(求人票に書かれている月給)と実際に振り込まれる手取り額の間には、健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税という4つの控除があります。さらに厄介なのは、1年目と2年目で天引きされる項目が変わることです。この記事では、令和8年度(2026年度)の保険料率・税額基準にもとづいて、初任給の手取り計算の仕組みと、入社から2年目にかけての変化を整理します。

結論:初任給の手取りは額面の8割前後。2年目はそこからさらに減る

  • 1年目の給与から引かれるのは健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税(源泉徴収)の4項目。合計でおおむね額面の15〜18%程度が天引きされます。
  • 住民税は1年目はかかりません。住民税は前年の所得に対して課税される「前年所得課税」の仕組みのため、前年に学生などで給与所得がなかった新卒1年目は、原則として住民税が発生しません。
  • 2年目の6月から、住民税の天引きが新たに始まります。額面が変わらなくても、住民税の分だけ手取りは目に見えて減ります。これが俗に言う「2年目の壁」です。

額面から引かれる4項目——令和8年度の料率

初任給(1年目)の給与から引かれる主な控除項目と、令和8年度(2026年度)時点の料率は次の通りです。

控除項目令和8年度の料率負担の考え方
健康保険料全国平均9.9%(都道府県ごとに9.21%〜10.55%)標準報酬月額に料率をかけ、事業主と被保険者で折半(協会けんぽ加入の場合。40歳未満は介護保険料の負担なし)
厚生年金保険料18.3%(固定)標準報酬月額に料率をかけ、事業主と被保険者で折半。本人負担分は実質9.15%
雇用保険料一般の事業で13.5/1,000(1.35%)毎月の給与額に応じて算定。本人負担分は5/1,000(0.5%)、残りは事業主負担
所得税(源泉徴収)国税庁の源泉徴収税額表(甲欄)にもとづく社会保険料控除後の月収から算定。令和8年分は105,000円未満なら0円(令和7年分以前は88,000円未満が基準)

健康保険料・厚生年金保険料は「標準報酬月額」という区切りのよい等級に当てはめて計算されるため、額面に料率を単純にかけた金額と厳密には一致しません。正確な金額は、加入する健康保険組合や協会けんぽの都道府県別保険料額表で確認してください。

モデルケースで計算——額面25万円の場合

新卒の月給(額面)を25万円と仮定し、令和8年度の料率で概算すると次のようになります。あくまで目安であり、実際は標準報酬月額の等級・扶養状況・勤務先の健康保険組合によって変動します。

項目概算控除額(月)備考
額面(月給)250,000円基本給+各種手当の合計
健康保険料(本人負担)約12,000円前後全国平均9.9%の半分(4.95%)で概算。加入する都道府県・健保組合で変動
厚生年金保険料(本人負担)約22,900円18.3%の半分(9.15%)
雇用保険料(本人負担)約1,250円0.5%
所得税(源泉徴収)数千円程度社会保険料控除後の金額と扶養人数により変動
住民税0円(1年目)前年所得課税のため、前年収入がなければ1年目は非課税
差引支給額(手取り)の目安額面の80〜85%程度1年目は住民税がない分、2年目より手取り率が高くなる

1年目ならではの特徴——社会保険料の控除開始タイミング

社会保険(健康保険・厚生年金)は入社(資格取得)した月から加入対象ですが、給与から実際に控除するタイミングは勤務先の運用によって異なります。「当月控除」(入社月の給与からすぐ控除)を採用する会社もあれば、「翌月控除」(入社翌月の給与から控除を始める)を採用する会社もあり、どちらが多数派かは一律に言えません。翌月控除の場合、4月に入社した最初の給与では社会保険料が引かれず、5月の給与から控除が始まるため、初月の手取りが他の月より多く感じられることがあります。自分の勤務先がどちらの方式かは、給与規定や総務・人事担当に確認しておくと安心です。

雇用保険料は控除のタイミングに関する特例はなく、毎月の給与額に応じてその都度天引きされます。所得税も同様に毎月の給与から源泉徴収されますが、社会保険料控除後の金額を基準に源泉徴収税額表で判定するため、社会保険料の控除が始まる月とそうでない月とで、所得税の金額が変わることがあります。

入社から2年目にかけての月別タイムライン

時期住民税手取りの変化
4月(初任給)0円(1年目は非課税)社会保険料が翌月控除の場合、初月は控除項目が少なく手取りが多め
5月0円翌月控除の会社では、この月から健康保険料・厚生年金保険料の控除が本格的に始まる
6月(1年目)0円本来この時期から住民税の特別徴収が始まる会社が多いが、1年目は前年所得がないため引かれない
夏・冬の賞与(1年目)0円賞与にも健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税はかかるが、住民税はかからない
翌年6月(2年目)天引き開始1年目の所得にもとづく住民税が給与から引かれ始める。額面が同じでも手取りが目に見えて減る(俗に「2年目の壁」)

住民税は総務省の説明のとおり「前年(1月〜12月)の所得」を基準に、翌年6月から翌々年5月まで給与天引きされる「特別徴収」という仕組みです。1年目の4月に入社した新卒社員は、前年(入社前年)は学生などで給与所得がほとんどないため、1年目の住民税はゼロかごくわずかで済みます。ところが2年目になると、1年目(4月〜12月)に得た所得にもとづく住民税が課税対象になり、2年目の6月分の給与から新たに天引きが始まります。額面が1年目と変わらなくても、住民税の分だけ手取りが減るため、「額面は上がっていないのに手取りが減った」と感じる人が多いのはこのためです。

よくある誤解・注意点

誤解・見落としがちな点実際のところ
「2年目に給料が下がった」と思ってしまう多くの場合、額面(基本給)は下がっておらず、住民税の天引きが新たに始まったことが原因。給与明細の控除欄で住民税の金額を確認すれば原因を特定できる
賞与(ボーナス)は税金・社会保険料がかからないと思っている賞与にも健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税がかかる(住民税のみ、賞与からの天引きは行われず月給からの天引きに一本化されるのが一般的)
転職・退職すると住民税の支払いがなくなると思っている住民税は前年所得に対する課税のため、退職・転職後も前年分の住民税の納付義務は残る。退職時期によっては一括徴収や普通徴収(自分で納付)に切り替わる
社会保険料は毎月同じ金額だと思っている標準報酬月額は原則年1回(4〜6月の給与平均)見直されるため、残業代などで4〜6月の給与が多いと、その年の社会保険料が高めに設定されることがある

よくある質問(FAQ)

Q1. 初任給の手取りが額面よりかなり少なく感じます。何が引かれているか確認する方法はありますか?

給与明細の「控除」欄を確認してください。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税の4項目が記載されているのが一般的です。1年目は住民税の欄が0円または記載なしになっているのが正常な状態です。給与明細全体の読み方はバイトの給与明細の見方の3ブロック(勤怠・支給・控除)の考え方が参考になります。

Q2. なぜ2年目から急に手取りが減るのですか?

住民税が「前年の所得」に対して課税される仕組みだからです。1年目は前年(入社前)の所得がほとんどないため住民税がかからず、2年目の6月から、1年目に得た所得に対する住民税の天引きが始まります。額面(基本給)自体が下がったわけではありません。

Q3. 社会保険料はいつから給与天引きされますか?

加入自体は入社(資格取得)した月からですが、給与からの実際の控除タイミングは勤務先によって「当月控除」か「翌月控除」かが異なります。初任給で社会保険料が引かれていない、または少ないと感じた場合は、翌月控除の会社である可能性があります。勤務先の給与規定・総務担当に確認すると安心です。

Q4. 所得税は毎月同じ金額が引かれますか?

いいえ。所得税の源泉徴収額は、その月の社会保険料控除後の給与額をもとに源泉徴収税額表で算定されるため、残業代などで月収が変動すれば所得税額も変わります。年間の所得税額は年末調整で精算され、天引きされすぎていた分は還付されます。

まとめ

  • 初任給から引かれるのは健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税の4項目。住民税は1年目はかからない
  • 令和8年度の料率は、健康保険料が全国平均9.9%、厚生年金保険料が18.3%(いずれも労使折半)、雇用保険料が本人負担0.5%
  • 社会保険料の控除開始タイミングは勤務先により「当月控除」「翌月控除」があり、初月の手取りが多めに感じられることがある
  • 2年目の6月から住民税の天引きが新たに始まり、額面が同じでも手取りが目に見えて減る(「2年目の壁」)
  • 賞与にも社会保険料・所得税はかかる。退職・転職後も前年分の住民税の納付義務は残る

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免責

  • 本記事は2026年9月時点の公的情報(協会けんぽ・日本年金機構・厚生労働省・国税庁・総務省)をもとに作成した教育コンテンツです。保険料率・税額基準は年によって変更されるため、必ず最新情報でご確認ください。
  • 本記事は税務・社会保険の個別相談ではありません。控除の可否・金額の判断は、勤務先の給与担当、税務署、年金事務所等にご確認ください。
  • モデルケースの計算はあくまで目安であり、実際の金額を保証するものではありません。実際の扱いは加入する保険者・勤務先の規定・個々の状況によって異なります。

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この記事を書いた人

ハル|証券外務員二種(日本証券業協会)保有

金融リテラシー教育サイト finance-plan-study.com 運営者(2022年〜)。FX自動売買を自己資金で実運用しながら、NISA・iDeCo・保険など生活者の金融判断に使える知識を、一次情報(金融庁・国税庁等)に基づいて発信しています。

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