年末調整の保険料控除申告書の書き方 2026年版

年末調整の保険料控除申告書の書き方【2026年版】|記入例と上限額

年末調整の保険料控除申告書は、生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金(iDeCoの掛金を含む)の4種類を1枚にまとめて勤務先に出す書類です。令和8年分は、23歳未満の扶養親族がいると一般の生命保険料の上限が最高6万円に広がる新ルールが始まりました。控除証明書ハガキの見方、新旧制度の区分、計算式、記入例、よくある間違いを国税庁の一次情報にもとづいて整理します。

【この記事について】
・本記事は保険料控除申告書の記入手順を学ぶための教育コンテンツであり、特定の保険商品や保険会社の推奨ではありません。
・年末調整の全体像と扶養控除等申告書の書き方は大学生バイトの年末調整 完全ガイドで解説しています。本記事は、会社員など社会人の保険料控除申告書に絞った内容です。
・制度の内容は2026年10月時点の国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」「タックスアンサー」にもとづきます。最新情報は必ず国税庁または勤務先の案内でご確認ください。
・個別の税務判断は、勤務先の担当部署または税務署にご確認ください。

結論:保険料控除申告書で押さえる3つのポイント

  • この申告書に書くのは4種類です。生命保険料、地震保険料、社会保険料(自分で直接払ったもの)、小規模企業共済等掛金(iDeCoなど、自分で直接払ったもの)。毎月の給与から天引きされている社会保険料は、会社が集計するので書きません。
  • 生命保険料控除は3区分で合計最高12万円です。一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の各区分で、新契約は最高4万円、旧契約は最高5万円まで。令和8年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合、新契約の一般の生命保険料に限って最高6万円になります(国税庁)。
  • 控除証明書は金額を転記する元データです。保険会社から届くハガキや電子データの「新・旧」「支払保険料の額」を見て、申告書に写します。紛失すると再発行の手間がかかるので、届いたらすぐ一箇所にまとめておきましょう。

提出の流れと期限

保険料控除申告書は、勤務先(給与の支払者)に提出します。国税庁の手続案内では、提出時期は「その年最後に給与等の支払を受ける日の前日まで」とされています。実際には勤務先が回収の締め切りを早めに設定しているため、社内案内の日付を優先してください。

  1. 勤務先から保険料控除申告書が配られる(電子データで提出する会社もあります)
  2. 保険会社などから届く控除証明書を手元に集める
  3. 申告書に記入し、控除証明書を添付して提出する(控除証明書の内容を保険会社の電子署名つきの電子データで併せて提供する場合は、書面の添付に代えられます)
  4. 年末調整で控除が反映され、源泉徴収票に金額が載る

証明書がまだ届かない場合でも、翌年1月末日までに提出することを条件に、先に控除して年末調整を行ってよい取り扱いがあります(国税庁「年末調整のしかた」)。ただし対応するかどうかは勤務先の運用によるので、まず担当部署に相談してください。なお、国税庁の「年調ソフト」を使うと控除額が自動計算されます。

控除証明書ハガキの見方

生命保険料の控除証明書は、多くの保険会社が秋に発行します(時期は会社により異なります)。次の4点を見れば、申告書に写す内容はそろいます。

  • 契約者・保険の種類:誰の契約か、一般の生命保険か、介護医療か、個人年金かを確認します。
  • 新・旧の区分:平成24年(2012年)1月1日以後に結んだ契約が「新」、平成23年12月31日以前の契約が「旧」です。
  • 支払保険料の金額:その年に支払った額から、受け取った剰余金・割戻金を引いた金額です。月払いの契約では、毎月の保険料と1月から9月までの払込状況が書かれた証明書でも認められます(国税庁)。
  • 受取人:一般の生命保険料と介護医療保険料は、本人・配偶者・親族のいずれかが受取人であることが条件です。個人年金保険料は、本人か配偶者(親族は除く)が条件です。

1枚の証明書に新と旧の両方が記載されている場合もあります。その場合は、区分ごとに金額を分けて写します。

控除の区分と上限額(令和8年分)

控除の種類対象になるもの控除額の上限証明書類
生命保険料控除一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料新契約は各区分最高4万円、旧契約は最高5万円。3区分の合計は最高12万円必要(旧契約で年9,000円以下のものを除く)
地震保険料控除地震保険料、旧長期損害保険料地震保険料は最高5万円、旧長期損害保険料は最高1万5千円。合計で最高5万円金額に関わらず必要
社会保険料控除国民年金、国民健康保険など、自分で直接払ったもの支払った全額国民年金・国民年金基金のみ必要
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済、iDeCo(個人型・企業型)の掛金など支払った全額自分で直接払った分は必要

出典は国税庁「令和8年分 各種控除について(給与所得者用)」と「年末調整のしかた」です。住宅ローン控除、扶養控除、基礎控除は別の申告書を使うので、この表には含まれません。

生命保険料控除の計算式

生命保険料控除の金額は、保険料の区分ごとに、次の3つの計算式のどれかで求めます(申告書の裏面や記載例にも同じ式が載っています)。

年間の支払保険料式Ⅰ:新契約
(一般・介護医療・個人年金)
式Ⅱ:新契約の一般
(23歳未満の扶養親族あり)
式Ⅲ:旧契約
(一般・個人年金)
第1段階2万円以下:全額3万円以下:全額2万5千円以下:全額
第2段階2万円超4万円以下:保険料×1/2+1万円3万円超6万円以下:保険料×1/2+1万5千円2万5千円超5万円以下:保険料×1/2+1万2,500円
第3段階4万円超8万円以下:保険料×1/4+2万円6万円超12万円以下:保険料×1/4+3万円5万円超10万円以下:保険料×1/4+2万5千円
上限8万円超:一律4万円12万円超:一律6万円10万円超:一律5万円

式Ⅱが使えるのは、新契約の一般の生命保険料だけです。介護医療保険料、個人年金保険料、旧契約には適用されません。また、3区分の合計が12万円を超えても、控除額は最高12万円です。

新契約と旧契約の両方に加入している場合、一般の生命保険料の控除額は「新と旧を別々に計算して足した額(最高4万円。23歳未満の扶養親族がいる場合は最高6万円)」と「旧契約だけで計算した額(最高5万円)」を比べて、大きいほうになります(国税庁)。個人年金保険料も同じ考え方で、新旧合計の上限は4万円です。

令和8年分から始まった「23歳未満の扶養親族」の特例

令和8年分から、23歳未満の扶養親族がいる人は、新契約の一般の生命保険料について式Ⅱが使え、上限が4万円から6万円に引き上げられました。3区分の合計上限12万円は変わりません。

  • 対象の親族:年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生まれ)の扶養親族で、合計所得金額が62万円以下(給与だけの場合は給与収入136万円以下)の人です。
  • 複数いる場合:申告書の「年齢23歳未満の扶養親族」欄には、いずれか1人を記入します。
  • 夫婦の場合:同じ世帯で23歳未満の子が1人でも、夫婦の両方が特例を受けられます(国税庁「年末調整のしかた」)。
  • 11月30日以前に年末調整をする会社:申告書の裏面にある所得要件の金額(62万円・136万円)を、58万円・123万円に読み替えて使うよう国税庁が案内しています。

お子さんが学生でアルバイトをしている場合は、収入が上の基準を超えると扶養親族に当たらなくなります。バイト収入と扶養の関係は大学生バイトの年末調整 完全ガイドで整理しています。

地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金のポイント

地震保険料控除

対象は、自分か生計を一にする親族が所有し常時住んでいる家屋や、生活に通常必要な家財にかけた保険の、地震等損害の部分の保険料です。火災保険の保険料全体ではない点に注意してください。平成18年12月31日までに結んだ満期返戻金つき・10年以上の長期損害保険(旧長期損害保険料)は、変更をしていなければ別枠で最高1万5千円まで対象になります。1つの契約が地震保険と旧長期の両方に当たる場合は、どちらか一方を選んで計算します。

社会保険料控除

国民年金、国民健康保険など自分で直接払った保険料が対象で、支払った全額が控除されます。生計を一にする配偶者や親族の分を自分が払った場合も、自分の控除に含められます。給与から天引きされている健康保険・厚生年金・雇用保険の分は、会社が源泉徴収簿で集計するため、この申告書には書きません。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金、企業型DCの加入者掛金などが対象で、全額が控除されます。給与天引きの掛金は申告不要ですが、口座振替などで自分が直接払っている分は、申告書に書いて掛金の証明書を添付します。iDeCo加入者には、例年秋に国民年金基金連合会から年末調整用の証明書が届きます。iDeCoの仕組みと始め方は、iDeCo完全ガイドとiDeCoのよくある質問20選で解説しています。

記入例:会社員のモデルケース

次のモデルで、申告書の「どこに何を書くか」を確認します。金額は説明用の仮の数字です。20歳の子(扶養親族)がいる会社員を想定しています。

区分契約の内容(仮)年間の支払額使う式控除額
一般の生命保険料(新)定期保険72,000円式Ⅱ72,000×1/4+30,000=48,000円
介護医療保険料(新)医療保険36,000円式Ⅰ36,000×1/2+10,000=28,000円
個人年金保険料(新)個人年金保険24,000円式Ⅰ24,000×1/2+10,000=22,000円
生命保険料控除の合計48,000+28,000+22,000(上限12万円以内)98,000円
地震保険料火災保険の地震保険部分18,000円全額18,000円
社会保険料(直接払い)生計を一にする親の国民健康保険料を口座振替で支払い120,000円全額120,000円
小規模企業共済等掛金iDeCo(口座振替、月12,000円)144,000円全額144,000円

申告書では次の順に書き進めます。

  1. 氏名・住所を書きます。
  2. 生命保険料は、契約ごとに保険会社名・保険の種類・契約者・受取人・「新・旧」の区別・支払額を1行ずつ書きます。そのあと区分ごとの合計欄(新生命保険料A、旧生命保険料B、介護医療保険料C、新個人年金保険料D、旧個人年金保険料E)に合計を入れ、欄の計算式に当てはめて控除額を出します。
  3. 23歳未満の扶養親族がいる場合は、「年齢23歳未満の扶養親族」の欄に氏名・続柄・生年月日・見積所得額を書きます。
  4. 地震保険料は、契約ごとに書いて、地震保険料と旧長期損害保険料を分けて集計します。
  5. 社会保険料と小規模企業共済等掛金は、種類・支払先・支払った金額を書きます。

様式は年によって一部変わるため、実際に配られた申告書と、国税庁の「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の記載例」をあわせて見ながら書くと安心です。

よくある間違い8つ

  1. 給与天引きの社会保険料を書いてしまう:毎月の給与から引かれている分は、会社が集計済みです。二重に控除されるのを避けるため、書くのは自分で直接払った分だけです。
  2. 新と旧を取り違える:判断は契約日です。平成24年1月1日以後の契約は新、平成23年12月31日以前は旧です。
  3. 区分を別の区分に入れる:新個人年金保険料を一般の生命保険料に含めるといった振り替えはできません。個人年金保険に付いた傷害・疾病特約の保険料も、個人年金保険料には含めません。
  4. 火災保険の保険料全体を書く:対象は地震等損害の部分だけです。
  5. まだ払っていない保険料を入れる:払込期日が来ていても、その年に現実に払っていない保険料は含められません。
  6. 受取人が対象外:一般の生命保険と介護医療は、受取人が本人・配偶者・親族のみ。個人年金は本人か配偶者のみです。
  7. 証明書の添付漏れ:地震保険料は金額に関係なく証明書が必要です。国民年金保険料や小規模企業共済等掛金を直接払っている場合も同様です。
  8. 23歳未満の扶養親族の欄が空欄:特例を使えるのに欄が空だと、式Ⅱで計算できません。

もし年末調整で出し忘れても、翌年に確定申告をすれば生命保険料控除などを受けられます(国税庁タックスアンサーNo.1140)。ふるさと納税の寄附金控除は、この申告書では扱いません。手続きはふるさと納税ワンストップ特例の申請方法で確認できます。

控除は手取りにどう響くか

所得控除は、課税される所得を減らして所得税と住民税を軽くする仕組みで、手取りが直接増える金額は控除額そのものではありません。所得税率は課税所得に応じて5〜45%と幅があり、住民税は控除額の計算が所得税と異なります。保険料や掛金を払うこと自体の費用は、控除で全額戻るわけではない点も押さえておきましょう。給与明細の控除項目と手取りの関係は、初任給の手取りはいくら?計算方法と1年目の変化で整理しています。

提出前のチェックリスト

  • 控除証明書が、生命保険・地震保険・国民年金・iDeCoなどすべてそろっている
  • 新・旧の区分を契約日で確認した
  • 区分ごとの合計と控除額が、計算式と一致している
  • 23歳未満の扶養親族がいる場合、欄を記入した
  • 給与天引きの社会保険料を書いていない
  • 勤務先の提出期限に間に合う

あわせて読みたい

参考:国税庁の一次情報

免責

  • 本記事は2026年10月時点の国税庁の公開情報をもとに作成した教育コンテンツです。制度や様式は今後変更される場合があるため、必ず国税庁または勤務先の最新の案内をご確認ください。
  • 本記事は税務の個別相談ではありません。控除の可否や金額は、勤務先の担当部署または税務署にご確認ください。
  • 本記事は特定の保険商品・金融商品の加入を勧誘するものではありません。控除による節税効果を保証するものでもありません。

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この記事を書いた人

ハル|証券外務員二種(日本証券業協会)保有

金融リテラシー教育サイト finance-plan-study.com 運営者(2022年〜)。FX自動売買を自己資金で実運用しながら、NISA・iDeCo・保険など生活者の金融判断に使える知識を、一次情報(金融庁・国税庁等)に基づいて発信しています。

→ 著者プロフィール・運営方針の詳細



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