医療費控除はいくらから 2026年版

医療費控除はいくらから?対象・やり方・戻る額を解説【2026年版】

医療費控除は、1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費が「10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、その5%)」を超えたときに、確定申告で受けられる所得控除です。年末調整では受けられません。また、戻ってくるのは控除額そのものではなく、控除額に税率を掛けた額です。対象になる費用とならない費用、セルフメディケーション税制との選び方、確定申告のやり方を、国税庁などの一次情報にもとづいて整理します。

【この記事について】
・本記事は、医療費控除の仕組みと手続を学ぶための教育コンテンツです。特定の医療機関・医薬品・サービスの利用を勧めるものではありません。
・制度の内容は2026年10月時点の国税庁などの公開情報にもとづきます。2026年中に支払った医療費は「令和8年分」で、申告は2027年です。最新情報は必ず国税庁または税務署でご確認ください。

結論:押さえる4つのポイント

  • いくらから?1年間に支払った医療費(保険金などで補てんされた分を除く)のうち、10万円を超えた部分が控除の対象です。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%がラインです(国税庁タックスアンサーNo.1120)。
  • 戻る額は「控除額×税率」です。控除額が18万円でも、18万円は戻りません。所得税率10%の人なら、所得税の還付は約1.8万円。これに加えて、翌年度の住民税が約1.8万円減ります。
  • 年末調整ではできません。会社員でも確定申告が必要です。還付申告は翌年1月1日から5年間提出できます(No.2030)。
  • 市販薬が中心なら、セルフメディケーション税制もあります。通常の医療費控除との選択制で、併用はできません(No.1131)。

医療費控除とは:払った医療費を「所得から引く」制度

医療費控除は、医療費が一定額を超えたとき、超えた分を所得から差し引ける制度です。所得が減ると、所得税と住民税が減ります。医療費を払い戻してくれる制度ではない点が、いちばん誤解されやすいところです。

対象は、自分、または生計を一にする配偶者やその他の親族のために、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費です。未払いの医療費は、実際に支払った年の分になります(No.1120)。「生計を一にする」かどうか迷うときは、税務署に確認してください。

医療費控除はいくらから?10万円ラインの正確な意味

控除額は、次の式で計算します。上限は200万円です(No.1120)。

控除額 = (支払った医療費の合計 − 保険金などで補てんされる金額)− 10万円

最後に引く金額は、その年の総所得金額等で決まります。

その年の総所得金額等差し引く金額
200万円以上10万円
200万円未満総所得金額等の5%(例:150万円なら7万5千円)

会社員の総所得金額等は、おおまかには「給与収入−給与所得控除」の金額です。社会保険料控除や基礎控除を引く前の金額なので注意してください。令和8年分の給与所得控除は、収入が360万円以下なら「収入×30%+8万円」です(No.1410)。逆算すると、給与収入だけの人なら年収300万円弱が200万円のラインの目安です。正確には、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」で確認してください。

入院給付金、高額療養費、家族療養費、出産育児一時金などで補てんされた金額は、医療費から差し引きます。補てんは、その給付の目的となった医療費を限度に差し引き、引ききれない分をほかの医療費から引くことはありません(No.1120)。公的医療保険の仕組みは最強の保険組み合わせ完全ガイド2026で整理しています。

たとえば、医療費が28万円(補てんなし)、総所得金額等が250万円なら、控除額は28万円−10万円=18万円です。これは説明用の仮の数字です。

還付されるのは「控除額×税率」:控除額がそのまま戻るわけではない

医療費控除の18万円は、「所得から18万円を引く」という意味です。税金が18万円戻るという意味ではありません。戻る額は、控除額に税率を掛けて決まります。

所得税の税率は、課税される所得金額で変わります(No.2260)。195万円未満は5%、195万円から330万円未満は10%、330万円から695万円未満は20%です。住民税の所得割は、東京都の場合、都民税4%と区市町村民税6%で合計10%です(東京都主税局)。住民税は前年の所得に課税されるため、効果は翌年度の住民税の減額として表れます。

所得税率所得税の還付翌年度の住民税の減額(10%)合計
5%約9,000円約18,000円約27,000円
10%約18,000円約18,000円約36,000円
20%約36,000円約18,000円約54,000円

医療費28万円を払って、軽くなる税金は約2.7万円から5.4万円です。復興特別所得税(2.1%)や、控除で税率の区分が変わる場合を省いた概算です。また、所得税の還付は、源泉徴収などで納めた所得税がある人に限られます(No.2030)。住民税の所得割が課税されていない人は、減らす税額がなく、効果が出ません(横浜市の案内)。

対象になる費用・ならない費用

医療費なら何でも対象になるわけではありません。国税庁のタックスアンサーNo.1122などにもとづく、主な例です。

区分主な例
対象になる ・医師、歯科医師による診療費、治療費
・治療に必要な薬の購入代(風邪薬など)
・入院の費用(部屋代、食事代を含む)
・通院の電車、バスの料金
・タクシー代(公共交通機関を利用できない場合)
・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術
・助産師による分べんの介助の対価
・義歯、補聴器、松葉杖などの購入費
・治療を目的としたレーシック手術(国税庁Q&A)
対象にならない ・健康診断、人間ドックの費用(原則)
・ビタミン剤など、予防や健康増進が目的の薬の購入代
・医師などへの謝礼
・疲れを癒すなど、治療に直接関係しない施術
・公共交通機関を利用できる場合のタクシー代
・自家用車で通院したときのガソリン代、駐車場代
・通常の生活に必要な視力矯正用の眼鏡
・差額ベッド料(原則として対象外。国税庁の質疑応答事例)
・容姿を美しくする目的の美容整形(国税庁パンフレット)

健康診断や人間ドックは、治療ではないため原則対象外です。ただし、健診で重大な病気が見つかり、引き続きその治療を受けた場合は、健診の費用も対象になります(国税庁Q&A)。個別の費用は、No.1122と同じページのQ&Aで確認してください。

セルフメディケーション税制との違い:どちらか一方を選ぶ

セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例です。対象の市販薬(特定一般用医薬品等)の購入費が一定額を超えたときに使えます(No.1129)。

項目通常の医療費控除セルフメディケーション税制
対象の費用診療費、治療費、薬代、通院費など対象の市販薬の購入費
差し引く金額10万円(または総所得金額等の5%)1万2千円
控除の上限200万円8万8千円
条件特になし健康診断や予防接種などの「一定の取組」をその年に行っていること

「一定の取組」には、会社の定期健康診断、特定健康診査(メタボ健診)、予防接種、市区町村のがん検診などが含まれます。ただし、取組にかかった費用(人間ドック代など)は控除の対象外です(No.1129)。

注意したいのは、併用できないことです。特例の対象外の医療費が10万円を超えていても、特例を選んだら通常の医療費控除は受けられません。申告後に、更正の請求や修正申告でもう一方へ変更することもできません(No.1131)。通院や入院などで医療費が10万円を超えそうなら通常の医療費控除、市販薬が中心なら特例、というのが検討の出発点です。迷うときは、作成コーナーで両方の金額を試算してから決めましょう。

厚生労働省の資料によると、令和8年度税制改正でこの特例の対象範囲と適用期限が見直されました。変更は令和9年(2027年)以降の所得から適用されるため、2026年中に買った分は現行の対象品目で判断します。

医療費控除のやり方:確定申告の手順

年末調整では、医療費控除は受けられません。給与所得者が医療費控除を受けるには、ご自身で確定申告(還付申告)をします(No.2030)。年末調整の基本は大学生バイトの年末調整 完全ガイドで解説しています。

手順1:1年間の医療費を集計する

家族の分も含めて、1月から12月までに支払った医療費を集計します。方法は3つあります。

  • 領収書から集計する:国税庁の「医療費集計フォーム」に入力すると、作成コーナーに読み込めます。
  • 医療費通知を使う:健康保険組合などの「医療費のお知らせ」に必要な6項目が記載されていれば、明細書の記載を簡略化できます(No.1119)。
  • マイナポータル連携を使う:国税庁の案内では、例年2月9日以降、保険診療分の医療費情報を取得し、申告書に自動入力できます。ただし、はり・きゅうの施術費など、取得できない費用もあります。

先発医薬品を希望したときの「特別の料金」など、医療費通知に含まれない金額は、領収書から自分で明細を作ります(国税庁Q&A)。

手順2:必要なものをそろえる

源泉徴収票、マイナンバーカード、医療費の集計結果、還付金を受け取る口座の情報を用意します。源泉徴収票の見方は源泉徴収票の見方【大学生バイト向け】で整理しています。

手順3:確定申告書等作成コーナーで入力する

国税庁の作成コーナーで、「控除の入力(1/2)」または「所得・控除の入力」の画面から「医療費控除」を選び、「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」のどちらを使うかを選びます。そのうえで、マイナポータル連携、集計フォーム、手入力などの入力方法を選びます(e-Tax・作成コーナーFAQ)。「医療費控除の明細書」は、確定申告書に添付します(No.1119)。

手順4:提出して、領収書を保管する

e-Taxで送信するか、印刷して税務署に郵送・持参します。会社員の医療費控除は還付申告なので、確定申告の期間に関係なく、翌年1月1日から5年間提出できます(No.2030)。所得税の確定申告書を出した場合、横浜市の案内では住民税の申告を別に出す必要はありません。確定申告をしない場合は、市区町村に住民税の申告をしますが、その場合に反映されるのは住民税だけで、所得税は戻りません。

領収書は、申告時の添付は不要です。ただし、確定申告期限から5年間は、税務署から提示や提出を求められることがあるため、保管してください(No.1119)。

ふるさと納税をしている人は特に注意

ワンストップ特例を使っている人が医療費控除のために確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。ふるさと納税の寄附金控除も、確定申告書に自分で書き込む必要があります。詳しくはふるさと納税のワンストップ特例を出し忘れたら?確定申告で取り戻す【2026年版】で解説しています。

よくある質問

医療費控除は、いくらから受けられますか?

1年間に支払った医療費(保険金などで補てんされた分を除く)が、10万円を超えた部分が控除の対象です。総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%を超えた部分になります。

医療費控除は、年末調整でできますか?

できません。年末調整では反映されないため、確定申告で申告します。還付申告は、翌年1月1日から5年間提出できます。

10万円の控除を受けたら、10万円が戻ってきますか?

戻りません。戻る額は、控除額に税率を掛けた額です。所得税率10%の人が10万円の控除を受けた場合、所得税の還付は約1万円で、翌年度の住民税が約1万円減ります。

セルフメディケーション税制と医療費控除は、両方使えますか?

使えません。どちらか一方を選ぶ仕組みで、申告後に変更することもできません。

あわせて読みたい

参考:国税庁・厚生労働省などの一次情報

免責

  • 本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにした教育コンテンツです。制度や様式は変更される場合があるため、必ず国税庁、税務署、お住まいの市区町村の最新の案内をご確認ください。
  • 本記事は税務の個別相談ではありません。控除の対象かどうか、申告の要否、還付額は、税務署または市区町村にご確認ください。計算例は説明用の仮の数字です。

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この記事を書いた人

ハル|証券外務員二種(日本証券業協会)保有

金融リテラシー教育サイト finance-plan-study.com 運営者(2022年〜)。FX自動売買を自己資金で実運用しながら、NISA・iDeCo・保険など生活者の金融判断に使える知識を、一次情報(金融庁・国税庁等)に基づいて発信しています。

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